女方(女形)

「女方(おんながた)」は女性の役あるいはそれを勤める役者を指し、現実の女性の模倣ではなく芸の上で創り上げられた理想の女性像といわれます。「女形」という表記もありますが、「女性を演じる役割」という意味で「女方」が本来といえます。その役柄は元来「若女方」と年配の「花車方(かしゃがた)」に大別されていましたが次第に細分化し、「傾城(けいせい=高位の遊女)」「赤姫(衣裳の色からこう呼ばれる)」「娘」「奥方」「世話女房」「片はずし(毅然とした武家の女性、かつらの種類から付けられた呼称)」「女武道(立廻りを演じる勇ましい女性)」「老け女方」といった役柄が形成されていきました。(金田栄一)

【写真】
『伽羅先代萩』[左から]渡辺主水妻松島(尾上右近)、乳人政岡(尾上菊之助)、弾正妹八汐(中村歌六)、田村右京妻沖の井(中村梅枝) 平成29年5月歌舞伎座

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