さんひめ 三姫

歌舞伎の中には様々なお姫様が登場しますが、中でも大役とされる三つの代表的なお姫様役を三姫と呼びます。『本朝廿四孝』の八重垣姫、『鎌倉三代記』の時姫、『祇園祭礼信仰記』の雪姫がそれで、いずれも気高く美しく、しかし厳しい状況にさらされる中で懸命に生き抜く情熱と奇跡を巻き起こす強さを発揮します。中でも八重垣姫は狐の法力を得て湖上を羽ばたき、雪姫は自ら足先で描いた鼠に魂が宿って救われるという幻想的な場面が展開します。(金田栄一)

【写真】
『祇園祭礼信仰記』金閣寺 将監息女雪姫(尾上菊之助) 平成24年1月新橋演舞場