変化する衣裳

歌舞伎は、観客を驚かせるのが大好きな演劇。衣裳もお客さんの見ている目の前で形や色などを変えてみせる、仕掛け付きの衣裳があり、舞台を盛り上げます。
たとえば、大悪人が隠していた本性をあらわす、あるいは霊獣や精霊(狐や桜の精など)が本性をあらわすときなどに、衣裳を変化させて視覚的に伝えます。仕掛けは、主に「引き抜き」「ぶっ返り」という手法がつかわれます。
また『義経千本桜』「川連法眼館」では、狐が侍に化けた姿で登場するのですが、途中で狐の正体をあらわします。このとき、着物に袴をつけた姿から、一瞬で白いふさふさとした毛のついた狐を連想させる衣裳(「毛縫」)に変化します。(田村民子)

【写真】
『積恋雪関扉』関守関兵衛実は大伴黒主(松本幸四郎) 平成11年1月歌舞伎座

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