1. 用語
  2. 世界とは
  3. 平家物語の世界

へいけものがたりのせかい 平家物語の世界

「平家物語の世界」は、平家一門の栄枯盛衰を描く『平家物語』で知られた物語の世界で、『源平盛衰記(げんぺいせいすいき)』や、源義経の生涯を描いた「義経記(ぎけいき)の世界」とも重なります。見どころが多く大きな世界なので、細かく分けると「平家物語」「頼政」「伊豆日記」「木曽(義仲)」「源平軍(げんぺいいくさ)」と5つの世界になります。
「平家物語」の世界では、今日でもよく上演されるものの一つに『平家女護島(へいけにょごのしま)~俊寛(しゅんかん)』があります。僧の俊寛は反清盛のクーデターが発覚し、鬼界が島に流罪にされます。『平家物語』では傲慢な男で、能の『俊寛』もそれを踏襲していましたが、近松門左衛門は俊寛を全く正反対の、人間味に満ちた人物に変えました。
「源平軍」では『一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)』がよく上演されます。歌人として優れた平忠度(たいらのただのり)が都を落ち行く前に藤原俊成(ふじわらのとしなり、しゅんぜい)卿に和歌を託し、岡部六弥太(おかべろくやた)に討たれた物語と、16歳の貴公子平敦盛(たいらのあつもり)が熊谷次郎直実(くまがいじろうなおざね)に討たれた物語の「真相」を描いています。登場人物は判官義経、平忠度と岡部六弥太、熊谷次郎直実と妻の相模、子息の小次郎、敦盛とその母の藤の方、玉織姫(たまおりひめ)、石屋の弥陀六(みだろく)実は弥平兵衛宗清(やへいびょうえむねきよ)などです。(安冨順)

【写真】
『平家女護島』俊寛 俊寛僧都(中村吉右衛門) 平成25年6月歌舞伎座
  1. 用語
  2. 世界とは
  3. 平家物語の世界