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ぎけいきのせかい 義経記の世界

「源平合戦の世界」が源義経(みなもとのよしつね)の平家追討の華々しい物語であるのに対し「義経記の世界」は、牛若丸(うしわかまる)と名乗っていた少年期の義経の物語と、兄頼朝の不信を受け、奥州平泉への逃避行とその滅亡までの短く悲劇的な一生を描いています。前半の主な登場人物は牛若丸のちの義経、書写山(しょしゃざん)の鬼若丸(おにわかまる)のちの武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)、鞍馬山の天狗実は鬼一法眼(きいちほうげん)と鬼一の弟の吉岡鬼次郎(よしおかきじろう)、鬼三太(きさんだ)などです。
この少年期を描いた作品に『鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき)』があります。牛若が兵法家の鬼一法眼から兵法書「虎の巻」を入手しようとする物語です。
後半生の代表作が『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)』で、頼朝の不信を受けて都を立ち退いた義経一行が大物浦から吉野山に潜伏するまでの物語です。主人公は判官義経と武蔵坊弁慶、亀井・片岡・伊勢・駿河の四天王、壇ノ浦に沈んだと思われていた平知盛(たいらのとももり)と平教経(のりつね)、平維盛(これもり)、義経の忠臣佐藤忠信(ただのぶ)と彼に化けて静御前を守護する源九郎(げんくろう)狐(狐忠信)です。(安冨順)

【写真】
『義経千本桜』渡海屋 源九郎判官義経(中村梅玉) 平成24年7月大阪松竹座
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