しかけもの 仕掛け物

仕掛けを施して特殊な効果を狙った道具。『東海道四谷怪談』蛇山庵室の場では、伊右衛門が抱いた赤子が一瞬にして地蔵に変化する。『加賀見山再岩藤(かがみやまごにちのいわふじ)』の冒頭で、打ち捨てられてバラバラだった岩藤の遺骨が怨念によって寄せ集まり、亡霊として甦る。これも「骨寄せ(こつよせ)」とよばれるユニークな仕掛け。あるいは「髪結新三」で、鰹売りがさばく鰹は頭を外すと臓物が仕込んであり、三枚に下ろすことができる。『御存鈴ヶ森』で白井権八が雲助を斬ると、切れた足が飛び跳ねたり、顔がぺろりと落ちて目玉が飛び出したりという仕掛けも凝っている。(橋本弘毅)

【写真】
鰹をさばく肴売
『梅雨小袖昔八丈』髪結新三 [左から]合長屋権兵衛(松本幸太郎)、肴売新吉(松本錦弥) 平成26年4月歌舞伎座