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しょうもんきのせかい 将門記の世界

「将門記の世界」は「前太平記の世界」の一系統です。「前太平記の世界」の主要人物・源経基(みなもとのつねもと)は、平将門(たいらのまさかど)の反乱を朝廷に通報しました。さらに同時期、四国で発生した藤原純友(ふじわらのすみとも)の乱の鎮圧で功績を挙げました。平将門は父良将(よしまさ)の死後に「新皇」を名乗り、朝廷に対抗して関東に独立国家を樹立します。しかし従兄弟(いとこ)の平貞盛(さだもり)・藤原秀郷(ふじわらのひでさと)連合軍に攻められて敗死。都で晒された彼の首は故郷をめざし飛行しますが、現在の東京千代田区大手町で落下したと伝わり、現在でもそこに首塚が祀られています。『将門記』は彼の短い一生の物語ですが、芝居で将門が登場する作品は少なく、「将門」の通称で知られる常磐津舞踊『忍夜恋曲者(しのびよるこいはくせもの)』にも将門は出てきません。代わりに出てくるのが無念の死を遂げた父の意志を継いだ滝夜叉姫(たきやしゃひめ)で、将門の本拠地だった相馬の古御所で反逆を企てています。そこへ源頼信(みなもとのよりのぶ)の家来大宅光圀(おおやみつくに)が将門残党摘発のため現れます。近松門左衛門の絶筆『関八州繋馬(かんはっしゅうつなぎうま)』、鶴屋南北の絶筆『金幣猿島郡(きんのざいさるしまだいり)』も、ともに「将門記の世界」です。(安冨順)

【写真】
『忍夜恋曲者』将門 [左から]傾城如月実は将門娘滝夜叉姫(坂東玉三郎)、大宅太郎光圀(尾上松緑) 平成25年4月歌舞伎座
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