この言葉は「心の中を述べる、打ち明ける」といった意味ですが、歌舞伎でもまさしくそういった場面や演技を指し、主な例に『仮名手本忠臣蔵』六段目の勘平や、『義経千本桜』の「すしや」のいがみの権太などがあります。死を目前にしたときに初めて心を開き、それまで秘めていた様々な思いや人知れぬ経緯など、思いのたけを苦しみながらも打ち明けます。『伊賀越道中双六』の「沼津」などでは、陰で人が立ち聞いているのを知ってか知らずか、問わず語りに心の中を明かすといった場面があります。(金田栄一)
【写真】
『三人吉三巴白浪』土左衛門伝吉(八代目坂東三津五郎) 昭和41年2月歌舞伎座
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『三人吉三巴白浪』土左衛門伝吉(八代目坂東三津五郎) 昭和41年2月歌舞伎座