わりぜりふ 割りぜりふ

複数の人物がリレー式にせりふを渡す「渡りぜりふ」と似ていますが、主に二人の人物が交互に、それぞれ独り言のようにせりふを言って、最後に同じセリフで締めくくるのが「割りぜりふ」です。苦悩している人物同士がそれぞれに心の内をつぶやき、「こりゃどうしたら、よかろうなあ」といって結ぶ例がよくあります。『十六夜清心』の清心と求女、『妹背山婦女庭訓』の「吉野川」の定高と大判事などが代表例。(金田栄一)

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『妹背山婦女庭訓』吉野川 [左から]太宰後室定高(坂田藤十郎)、大判事清澄(松本幸四郎) 平成19年6月歌舞伎座