ひときわ太い襷で、荒事などに登場する超人的な役がこれを付けます。襷は、仕事をするときに袖の始末をよくするための実用品ですが、古くは神を祀る神事に用いられたものです。背中に華やかに大きく結ばれる仁王襷は、普通の人間ではない能力を持った、特別な存在であることを示しています。『暫』の鎌倉権五郎景政や『義経千本桜~鳥居前』の忠信などがこれをつけています。(田村民子)
【写真】
『義経千本桜』佐藤四郎兵衛忠信実は源九郎狐(尾上松緑) 平成25年10月歌舞伎座
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『義経千本桜』佐藤四郎兵衛忠信実は源九郎狐(尾上松緑) 平成25年10月歌舞伎座