じつごと 実事

立役の代表的な役どころで、役によっていろいろな性格付けがありますが、おおむね思慮分別に富みしっかりと肚のすわった立派な人物。常識をわきまえて姿も凛々しくある意味理想的な男性像ともいえる役どころですが、芝居の中では苦悩する様も見せます。大きく分類した役柄で荒事の場合は荒唐無稽な力強さ、和事の場合はやわらか味が時としてコミカルにもなりますが、実事は極めて常識的で比較的写実に近いものがあります。代表的な役では『仮名手本忠臣蔵』の大星由良之助、『実盛物語』の斎藤別当実盛などが挙げられます。(金田栄一)

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『仮名手本忠臣蔵』四段目 大星由良之助(松本幸四郎) 平成25年12月歌舞伎座