やたいくずし 屋体崩し

舞台上に飾られた屋体を、観客の見ている前で崩壊させてみせる大仕掛けで、目の前で御殿などの屋体が崩れていく様子はまさにスペクタクル。多くは妖術や天変地異などにより、御殿や家屋の柱が折れたり壁が崩れたりする迫力ある場面を演出してみせます。大ゼリを使い、二階建ての屋体の一階部分を下げることによって、一階が崩れたように見せる演出もあります。『忍夜恋曲者~将門』では、この大仕掛けで相馬の古御所が崩れ落ちると、屋根の上に巨大な蟇と滝夜叉姫が現れます。レビューやバラエティーなどにも広く応用される歌舞伎伝統の手法です。(東功吾)

【写真】
『忍夜恋曲者』[左から]大宅太郎光圀(尾上松緑)、傾城如月実は将門娘滝夜叉姫(中村時蔵) 平成18年12月歌舞伎座