「伊豆日記の世界」は、源頼朝(みなもとのよりとも)が1159(平治元)年の平治(へいじ)の乱の後、伊豆蛭が小島(ひるがこじま)に流され、流人生活20年の雌伏を経て、打倒平家の旗揚をするまでを扱っています。頼朝が流人生活に終止符をうち、打倒平家の旗揚げをするまでを題材としています。主な登場人物は頼朝、伊東祐親(いとうすけちか)、祐親の娘辰姫(たつひめ)、工藤祐経(くどうすけつね)、北条政子(ほうじょうまさこ)などです。
この世界で最も有名な芝居は、『三浦大助紅梅靮(みうらのおおすけこうばいたづな)』です。源頼朝が初めて旗揚げした石橋山の合戦で敗北し、再起を期す物語ですが、現在上演されるのはその三段目の通称「石切梶原(いしきりかじわら)」です。主な登場人物は敗走する頼朝を助けた梶原平三景時(かじわらへいぞうかげとき)、大庭三郎景親(おおばさぶろうかげちか)とその弟で大力の俣野五郎景久(またのごろうかげひさ)など。そのほか1784(天明4)年11月、江戸中村座初演、顔見世狂言『大商蛭子島(おおあきないひるがこじま)』では、頼朝は伊豆下田の寺子屋師匠正木幸左衛門(まさきこうざえもん)と名前を変え、市中に潜伏します。妻は伊藤祐親の娘辰姫です。そこへ北条政子が現れ頼朝へ正式な結婚を求めます。辰姫は頼朝を政子に譲りますが、嫉妬に悶え苦しみます。近年では1962(昭和37)年6月に歌舞伎座で「天明歌舞伎160年ぶり復活」として「正木幸左衛門寺子屋の場」「同奥座敷(「黒髪」)」が上演され、1969(昭和44)年1月に国立劇場で通し狂言として増補復活再演、2017(平成29)年2月には、歌舞伎座で「正木幸左衛門内~源氏旗揚げ」が上演されました。(安冨順)
【写真】
『大商蛭子島』[左から]幸左衛門女房おふじ実は伊藤娘辰姫(中村時蔵)、地獄谷の清左衛門坊主実は高雄山文覚上人(中村勘九郎)、手習い師匠正木幸左衛門実は右兵衛佐源頼朝公(尾上松緑) 平成29年2月歌舞伎座
この世界で最も有名な芝居は、『三浦大助紅梅靮(みうらのおおすけこうばいたづな)』です。源頼朝が初めて旗揚げした石橋山の合戦で敗北し、再起を期す物語ですが、現在上演されるのはその三段目の通称「石切梶原(いしきりかじわら)」です。主な登場人物は敗走する頼朝を助けた梶原平三景時(かじわらへいぞうかげとき)、大庭三郎景親(おおばさぶろうかげちか)とその弟で大力の俣野五郎景久(またのごろうかげひさ)など。そのほか1784(天明4)年11月、江戸中村座初演、顔見世狂言『大商蛭子島(おおあきないひるがこじま)』では、頼朝は伊豆下田の寺子屋師匠正木幸左衛門(まさきこうざえもん)と名前を変え、市中に潜伏します。妻は伊藤祐親の娘辰姫です。そこへ北条政子が現れ頼朝へ正式な結婚を求めます。辰姫は頼朝を政子に譲りますが、嫉妬に悶え苦しみます。近年では1962(昭和37)年6月に歌舞伎座で「天明歌舞伎160年ぶり復活」として「正木幸左衛門寺子屋の場」「同奥座敷(「黒髪」)」が上演され、1969(昭和44)年1月に国立劇場で通し狂言として増補復活再演、2017(平成29)年2月には、歌舞伎座で「正木幸左衛門内~源氏旗揚げ」が上演されました。(安冨順)
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『大商蛭子島』[左から]幸左衛門女房おふじ実は伊藤娘辰姫(中村時蔵)、地獄谷の清左衛門坊主実は高雄山文覚上人(中村勘九郎)、手習い師匠正木幸左衛門実は右兵衛佐源頼朝公(尾上松緑) 平成29年2月歌舞伎座