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たいこうきのせかい 太閤記の世界

江戸時代、豊臣秀吉の伝記『太閤記』や小説『絵本太閤記』は多くの読者を獲得していました。これらを題材に作られた人形浄瑠璃や歌舞伎を「太閤記の世界」の芝居といいます。秀吉を主人公とする芝居には「太閤記の世界」のほかに「出世奴(しゅっせやっこ)の世界」と呼ぶものがあります。彼がまだ木下藤吉郎(きのしたとうきちろう)と名乗っていた青春期が題材です。
代表的な芝居が『祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)』です。此下東吉(このしたとうきち、木下藤吉郎)は謀叛人松永大膳(まつながだいぜん)が立て籠る金閣寺へ乗込み、大膳がその最上階に監禁する足利義輝(あしかがよしてる)の母慶寿院(けいじゅいん)を救出します。救出の際に東吉は大木へよじ登りますが、この演出は彼のニックネーム、猿に由来するものです。
今日最も上演頻度が高いのが『絵本太功記(えほんたいこうき)』です。人気小説『絵本太閤記』を意識した芝居です。ただ、秀吉(芝居では真柴久吉)よりも織田信長(芝居では尾田または小田春長)に反逆した明智光秀(芝居では武智光秀)が主人公です。
『時桔梗出世請状(ときもききょうしゅっせのうけじょう)』も主人公は光秀です。外題の「桔梗」とは光秀の家紋「桔梗紋」のことです。むろん秀吉も登場します。外題の「出世請状」が秀吉に関する部分です。しかし現在、その部分は上演されず、光秀の場面のみが上演され、外題も『時今也桔梗旗揚(ときはいまききょうのはたあげ)』とされることがほとんどです。(安冨順)

【写真】
『祇園祭礼信仰記』金閣寺 [左から]此下東吉実は真柴筑前守久吉(中村梅玉)、慶寿院尼(中村東蔵) 平成24年1月新橋演舞場
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