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かがみやまのせかい 鏡山の世界

「鏡山」は「加賀見山」とも書きます。この世界には二つのキーワードがあります。「加賀騒動」と「お局様」です。「加賀騒動」は加賀(現在の石川県)藩主前田家の奥向きで発生したお家騒動です。「加賀騒動」が初めて芝居で上演されたのは1780(安永9)年12月『加賀見山廓写本(かがみやまくるわのききがき)』でした。初演時の外題『加賀見山』がこれ以降の芝居にも使われたことから「加賀騒動の世界」を「加賀見山の世界」と呼ぶようになります。その後、1782(天明2)年『加賀見山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)』が、初演されます。タイトルを『鏡山旧錦絵』とも書く場合もあります。内容は御家騒動よりむしろ、そこから派生した「女の仇討」を見所とする芝居です。「女の仇討」の実説は石見国(現在の島根県)浜田5万石の江戸屋敷で起こった別のできごとでした。『旧錦絵』の主要登場人物は「お局様」の岩藤と中老尾上、尾上の召使お初です。「鏡山の世界」は「隅田川の世界」で紹介した『隅田川花御所染(すみだがわはなのごしょぞめ)』にも組み込まれました。
また河竹黙阿弥作『加賀見山再岩藤(かがみやまごにちのいわふじ)』は二代目尾上を名乗るお初の前に岩藤の幽霊が現れます。岩藤、尾上、お初を中心とする女の『忠臣蔵』という基本構造に変化はありません。(安冨順)

【写真】
『加賀見山旧錦絵』[左から]局岩藤(中村鴈治郎)、召使お初(中村芝翫) 昭和47年4月歌舞伎座
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