しらはた・あかはた 白旗・赤旗

源平合戦の時代、白旗は源氏の旗印、赤旗は平家の旗印であった。小中学校の運動会の紅組白組や「紅白歌合戦」などは、この旗印に由来がある。
『源平布引滝』では、平家全盛の世に、表向き平家に従っていた源氏の木曽先生義賢が白旗を秘蔵し、源氏再興の志を白旗に託して息絶える。白旗は奇しくも義賢の子(のちの義仲)のもとに届けられる。
源平合戦以前の時代を描く『奥州安達原(おうしゅうあだちがはら)』では、源氏の八幡太郎義家が、舅にあたる平家の傔杖直方(けんじょうなおかた)と赤旗と白旗を取り交わすのだが、源氏に敵対する奥州の豪族安倍宗任(あべのむねとう)は白旗に赤い血潮で和歌を書き付け、兄の貞任(さだとう)は赤旗を担ぎ上げる。
時代だんまりで奪い合いになるお宝のひとつとしても白旗・赤旗が登場する。(前川文子)

【写真】
『源平布引滝』実盛物語 御台葵御前(片岡孝太郎) 平成23年12月南座