「縁切物(えんきりもの)」といわれる演目群の中で、とりわけ大きな局面となる場面。相思相愛の男女でありながら、大切な宝を探し求めているあるいは大金を必要としているといった男性の事情を助けるために、女性が真意を隠して心ならずも「愛想尽かし」をします。しかし男はその真意や事情を理解出来ず、あるいは大きな誤解からついに「殺し」に走る、というのがおおよその流れになっています。縁切物の演目には『伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)』『曽我綉侠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)』『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』などがあります。(金田栄一)
【写真】
『籠釣瓶花街酔醒』[左から]佐野次郎左衛門(中村吉右衛門)、兵庫屋八ツ橋(中村福助)平成23年5月新橋演舞場
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『籠釣瓶花街酔醒』[左から]佐野次郎左衛門(中村吉右衛門)、兵庫屋八ツ橋(中村福助)平成23年5月新橋演舞場