ておい 手負い

斬りつけられたり撃たれたりして、傷つくことを手負いと言います。重傷を負って、死を避けられない状態になったときに、人物が初めて本心を明かすという場面を歌舞伎では「手負い」と呼び、そこから事態がひっくり返るいわゆるモドリの場面になります。痛々しさのうちに真実が明らかになっていく緊迫した山場となっています。(金田栄一)

【写真】
『源平布引滝』実盛物語 [左から]斎藤別当実盛(尾上菊五郎)、瀬尾十郎兼氏(市川左團次) 平成26年6月歌舞伎座