ぶっかえり<演技・演出> ぶっ返り[演技・演出]

衣裳の仕掛けで、引抜きの一種あるいはバリエーションともいえますが、衣裳全体ではなく上半分がひっくり返って垂れ下がるように下半分を覆います。人物がそれまでの仮の姿から本性を顕わしたり妖怪変化が正体を顕わすといった、姿や内面の大きな変化を視覚的に訴えます。『一条大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)』の大蔵卿は作り阿呆から真の姿へ、また『関の扉(せきのと)』の関守関兵衛は天下を狙う大伴黒主(おおとものくろぬし)の本性を顕わすときに、ぶっ返りになります。(金田栄一)

歌舞伎の衣裳>変化する衣裳>ぶっ返り[衣裳] もご参照ください。

【写真】
『鎌倉三代記』安達藤三郎実は佐々木四郎左衛門高綱(中村芝翫) 平成30年4月金丸座