立廻りの場面に必ずといってよいほど登場する前転宙返りの動作をトンボといいます。立廻りの中で投げられたり斬られたりした時にトンボを返ると、すなわち「やられた～」ということを表現しています。立廻りを演ずる俳優にとってはこれが必須科目であるばかりでなく、最も基本的で最も重要な技術と位置付けられ、常日頃からの修練が続けられています。これは捕手など主役に掛かってゆく側にとって重要なばかりではなく、掛かられる方の主役にもその心得が必要で、自分自身がトンボを返れなければ相手にうまく返らせることができないといわれ、かつての名優たちも見事なお手本を見せたといわれます。（金田栄一）
【写真】
『倭仮名在原系図』蘭平物狂 奴蘭平実は伴義雄（尾上松緑） 平成14年6月歌舞伎座
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『倭仮名在原系図』蘭平物狂 奴蘭平実は伴義雄（尾上松緑） 平成14年6月歌舞伎座
