かたいれ 肩入

肩から胸にあたる部分に色などが違う別布を使ったつぎはぎ感のある衣裳で、浪人や落ちぶれた姿を表します。着物は長く着ていると肩や胸の部分が傷んできます。古くなっても新しくできず、別の布をあてて着続けているという貧しさを示すものですが、独特の美しさ、色気もあります。『葛の葉』の安倍保名、『菅原伝授手習鑑~賀の祝』の桜丸、『沼津』の娘お米などがこの衣裳を着ています。(田村民子)

【写真】
『芦屋道満大内鑑』安倍保名(中村翫雀) 平成16年11月歌舞伎座