やよいきょうげん 弥生狂言

その名の通り三月興行およびその演目のこと、上方では「三の替り」とも称しました。初春興行が格別に大当たりした時は五月の「曽我祭(曽我兄弟討入り日)」まで続演することもありましたが、通常は二月で打ち止めとなり、弥生興行となります。三月は花見月で、御殿女中など武家に仕える女性たちが年に一度の宿下がりで暇をもらえるため、それを当て込んだ『先代萩』『加賀見山』『新薄雪』といった御殿物の特に女性たちが活躍する芝居が上演され、続いて『助六』がおなじみでよく上演されています。(金田栄一)

【写真】
『加賀見山旧錦絵』[左から]中老尾上(坂東玉三郎)、庵崎求女(尾上松也)、息女大姫(中村隼人)、局岩藤(尾上菊五郎) 平成17年10月歌舞伎座