歌舞伎では幽霊や亡霊、鬼、動物の化身など、普通の人間ではない者の登場には必ず花道のセリ=すっぽんが使われるのがお約束です。先行芸能の能の多くに、それが主人公として登場します。能に取材した歌舞伎舞踊を能取物(のうとりもの)と呼びますが、その代表的なものに『船弁慶』があり、平知盛の霊が現れます。能の『道成寺』をアレンジした『京鹿子娘道成寺』も、清姫の霊が主人公です。
怪談物には恨みを持つ幽霊が登場しますが、代表的な『東海道四谷怪談』などには、幽霊以上に怖い生身の人間の本性が描かれています。『法界坊』などでは二人の亡魂が一人の姿になってあらわれる「双面」(ふたおもて)の趣向で客席をおおいに悩ませます。(金田栄一)
【写真】
『加賀見山再岩藤』局岩藤の亡霊(尾上松緑) 平成25年7月歌舞伎座
怪談物には恨みを持つ幽霊が登場しますが、代表的な『東海道四谷怪談』などには、幽霊以上に怖い生身の人間の本性が描かれています。『法界坊』などでは二人の亡魂が一人の姿になってあらわれる「双面」(ふたおもて)の趣向で客席をおおいに悩ませます。(金田栄一)
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『加賀見山再岩藤』局岩藤の亡霊(尾上松緑) 平成25年7月歌舞伎座