上方和事の中でもとりわけ特徴的・象徴的な役柄で、単なる優男にとどまらずなよなよとして滑稽味にあふれ、まさに究極の若旦那といった姿に描かれます。その名の通り後ろからちょっと突かれるとよろけて転んでしまうような頼りなさが持ち前ですが、さらに並外れた大らかさや呆れるほどの人の好さも加わります。主な役に『双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)』の山崎屋与五郎、『夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)』の玉島磯之丞などがあります。(金田栄一)
【写真】
『双蝶々曲輪日記』角力場 山崎屋与五郎(尾上菊之助) 平成28年3月歌舞伎座
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『双蝶々曲輪日記』角力場 山崎屋与五郎(尾上菊之助) 平成28年3月歌舞伎座