元来は衣裳の名称で、裾の両側に切れ目が入った独特な形のものを指しますが、転じてその衣裳を着た捕手や軍兵など主として立廻りを演じる役柄の呼称となっています。捕手など黒の衣裳を身に着けているのが「黒四天」で、『寺子屋』や『白浪五人男』に登場します。また立涌柄などの明るい衣裳で時おり手に桜の枝を持って立廻りを演じるのが「花四天」、これは四天の中で最もおなじみでしょう。『道行旅路の花聟』や『道行初音旅』、押戻が付く場合の『京鹿子娘道成寺』に登場します。『盛綱陣屋』の信楽太郎など時代物の伊達四天は主に御注進の役柄に使われます。(金田栄一)
歌舞伎の衣裳>立役の衣裳>四天[衣裳] もご参照ください。
【写真】
『近江源氏先陣館』盛綱陣屋 信楽太郎(坂東三津五郎) 平成22年10月新橋演舞場
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『近江源氏先陣館』盛綱陣屋 信楽太郎(坂東三津五郎) 平成22年10月新橋演舞場