あかっつら 赤っ面[役柄]

敵役の中でも顔を赤く塗った役を指しますが、決して巨悪や大物ではなく家来などやや下っ端の乱暴者といった役柄です。見た目にいかつさや怖さが強調される一方、演技では概ね愛嬌やおかしみが表現されます。主な役に『石切梶原』の俣野五郎、『金閣寺』の鬼藤太、また『暫』の成田五郎など「腹出し」と呼ばれる役も赤っ面の代表例です。初代市川團十郎をはじめ江戸初期の荒事では主人公が赤く塗った顔に墨で隈取をしていましたが、やがて白塗りに紅の隈取が定着し、赤っ面といえば敵役の典型へと変化して行きました。(金田栄一)

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【写真】
『梶原平三誉石切』俣野五郎景久(中村又五郎) 平成25年5月歌舞伎座