ちきょうだい 乳兄弟

同じ人の乳を飲んだ人同士。昔は位のある人や裕福な家においては、生母が直接子に乳を与えず、同じ時期に子を産んで乳の出る女性を乳母(うば)にして、その乳を飲ませることが行われていた。そうなると、たとえば、大名の子女とその乳母の子供たちは乳兄弟となる。春日局が将軍家光の乳母となったため、乳兄弟である稲葉正勝は家光の小姓となり、老中・大名に出世した。『ひらかな盛衰記』にも登場する樋口次郎兼光は木曽義仲の乳兄弟。(小宮暁子)

【写真】
『伽羅先代萩』[上から]足利鶴千代(中村鶴松)、乳母政岡の一子千松(中村虎之介) 平成18年1月歌舞伎座