つけ ツケ

俳優の演技中に舞台上手(かみて=右側)の端で、木の板をツケ木で打って、演技を強調する演出法。すでに誇張されている歌舞伎の演技を、さらに音で誇張するとはまさに歌舞伎ならではのアイディア。大きな見得や六方といった活発な動作には「バタバタバタ、バッタリ」と派手に打ち上げます。また何か物が落ちた時なども、それを印象付けるためにさりげなく打たれます。舞台上に置くツケ板は欅(けやき)、手に持つツケ木は樫(かし)で、このツケ木は開幕時などを告げる柝(き)とは別物です。これを担当する「ツケ打」は東京では大道具方、上方では狂言方の役割となっています。(金田栄一)

【写真】
ツケ打(芝田正利)