ゆき

歌舞伎の舞台で表現される雪は、大太鼓の音がしずかに響き渡り、舞台上には白い雪布を敷き、つもった雪を綿で表現し、空(舞台の天井:簀の子)からは紙の雪が降ってきます。大太鼓の音一つで雪が降る静寂を表現するのは、歌舞伎ならではでしょう。紙の雪は和紙を小さく三角か四角に切ったものが使われます。これを、竹を荒く編んだ雪籠に入れて舞台上にいくつも吊り、上手と下手で綱を引いて揺すると籠の目からちらちらと降ってくるのです。(東功吾)

【写真】
『恋飛脚大和往来』新口村 父孫右衛門(中村歌六) 平成23年9月新橋演舞場