すっぽん すっぽん

花道の舞台寄りの七三にある小型のセリ。主に亡霊や妖怪、動物の精、妖術使いが突然現れたり、消えたりする非現実的な場面に用いる。俳優がセリ上がってくる様子が、生き物のスッポンが首を出す様子に似ているためこう呼ばれるようになったと言われます。すっぽんが二分割されていて、例えば『伽羅先代萩』床下の場面で、逃げてゆく鼠がすっぽんの片方に飛び込んで消える(せり下がる)と同時に、もう片方のすっぽんから仁木弾正がせり上がってくるといった使い方もあります。(東功吾)

【写真】
『伽羅先代萩』[左から]仁木弾正(松本幸四郎)、荒獅子男之助(中村富十郎) 平成16年3月歌舞伎座