だてひょうご(たてひょうご) 伊達兵庫(立兵庫)

格の高い遊女である傾城(けいせい)の特有の髪型。ひときわ大きな髷が特徴です。傾城本飾りと呼ばれるかんざしや櫛の豪華な一揃いが飾りとしてつけられます。
江戸と上方では同じ傾城でも、求める美しさの好みが異なっていて、飾りにもその差が見られます。ひと言でいうと、江戸はシンプル、上方はこってり。たとえば『助六』に出てくる揚巻は江戸の傾城なので、基本の飾りに加えて、髷の後ろに金糸で作られた房付きの飾りをつけるだけ(揚巻結びと呼ばれる)。一方、上方が舞台の『廓文章』の傾城・夕霧は、かんざしには演じる俳優の紋が入り、基本の飾りに加えて「鹿の子(かのこ)」と呼ばれる絞り染めの布をかけ、首もとには「えりずり」というキラキラと光る飾りをつけます。(田村民子)

【写真】
『助六由縁江戸桜』三浦屋揚巻(中村雀右衛門) 平成7年1月歌舞伎座