春興鏡獅子 シュンキョウカガミジシ

作品の概要

演目名 春興鏡獅子
作者 作詞=福地桜痴 作曲=三代目杵屋正次郎 振付=九代目市川團十郎
初演 1893(明治26)年3月 東京・歌舞伎座
概要 獅子物の歌舞伎舞踊の代表的作品。『鏡獅子(かがみじし)』とだけ表記されることもある。明治期の名優・九代目市川團十郎が、娘たちが舞踊『枕獅子』を稽古しているところを見て着想し、舞台を廓から千代田城の大奥に変更するという、演劇改良運動の起こった明治ならではの大胆な改作を行い優雅な作品ができた。九代目團十郎が演じたのは一度きりだったが、その薫陶を受けた六代目尾上菊五郎によって練り上げられた。九代目團十郎が制定した「新歌舞伎十八番」のひとつ。前半の可憐な女小姓と後半の勇壮な獅子、女方と立役両方をひとりで踊り分ける大変な難曲。終盤に見せる「毛振り」は文字通り最大の見せ場で、気力・体力とも相当に必要となる。
作者福地桜痴(ふくちおうち)、本名福地源一郎(1841~1906)は士族出身のジャーナリストで、西南戦争の従軍記者としての活躍で名が知られるようになり、以後小説家、劇作家、政治家など多彩な活動を見せた。幕末から度々海外へ渡航して通訳を勤め、西洋の演劇に触れる機会を得た経験から翻訳劇を多数作る。歌舞伎座の創設に中心的な役割を担った。福沢諭吉と並んで「天下の双福」とも称される。


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[左から]胡蝶の精(中村玉太郎)、獅子の精(中村勘三郎)、胡蝶の精(片岡千之助)平成21年1月歌舞伎座
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