「潔白な男のまことを疑うた、女の罪は重いと知れ」
青山播磨(はりま)はお菊を手討にした。一生に一度の恋を失ない自暴自棄となった播磨は、町奴との喧嘩に飛び出してゆく…。大正ロマンの時代に創られた新歌舞伎の代表作。
山の手第一の桜の名所山王神社。花見に遊ぶ白柄組の旗本青山播磨は、町奴の放駒と喧嘩になるところを、来あわせた伯母真弓にとめられる。 血気盛んな旗本も「伯母様は苦手じゃ」とにが笑い、「散る花にも風情があるのう」と行く春を惜しむ景色が、大正ロマンを色濃く漂わせる。
播磨は腰元お菊と相愛の仲で他から妻を迎える気持ちはない。が、播磨の縁談の噂に日々心を痛めるお菊は、割れば手討の掟のある家宝の皿一枚を割って播磨の心を確かめようとする。過失としてお菊の罪を許す播磨だった。しかし、お菊がわざと皿を割っているのを、おなじ腰元のお仙が見ており、そのことが用人から播磨の耳に入った。事の真相を知り、真心を疑われた無念さから、播磨はお菊を手討にし井戸に投げ込む。播磨の本心を知ったお菊は満足して死んでゆく。生涯一度の恋を失い、自暴自棄となった播磨は白柄組の統領水野十郎左衛門と町奴との喧嘩の加勢にと槍を手に屋敷を飛びだしていく。
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