土蜘 ツチグモ

作品の概要

執筆者 / 阿部さとみ
演目名 土蜘
作者 作詞:河竹黙阿弥  作曲:三世杵屋正次郎
初演 1881(明治14)年6月 東京・新富座
概要 能『土蜘蛛』が原作。能は『平家物語』剣の巻で頼光が土蜘蛛の精を退治する話を基にしている。五代目尾上菊五郎が、祖父の三代目菊五郎三十三回忌追善に、市川家の歌舞伎十八番の『勧進帳』に対抗して創り、1887(明治20)年の再演から尾上家の「新古演劇十種」の内のひとつになった。松羽目の舞台、衣裳等も能に準じているが、侍女胡蝶の舞や僧智籌の諸国修行の物語は歌舞伎のオリジナルでここが見どころになっている。他に、花道からの影のような出、数珠を口に当てた畜生口の見得など、陰のオーラをまとった土蜘蛛の精ならではの所作が特徴的。パーっと広がる千筋の蜘蛛の糸も美しい。
五代目菊五郎以降、六代目菊五郎の薫陶を受けた二代目尾上松緑が数多く手がけて好評を得、七代目尾上菊五郎へと受け継がれ、尾上家の芸としてしかと築き上げられてきた。二代目中村吉右衛門も松緑から継承してよく演じている。四代目尾上松緑、六代目中村勘九郎がそれぞれ襲名公演などで演じて健闘。次世代へ着実に伝承されている。

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叡山の僧智籌実は土蜘の精(尾上菊五郎) 平成25年6月歌舞伎座

●ページ公開日 平成28年12月27日
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