登場人物
人物関係図
主な登場人物
- 時姫【ときひめ】
- 鎌倉方の大将北条時政の娘で、三浦之助の許嫁。時政の敵方となった三浦之助を一途に恋し、父のもとを離れ絹川村で三浦之助の母長門を看病している。三浦之助から夫婦の契りを交わす条件として時政を討つよう詰め寄られ、父を討つ決心をする。
- 三浦之助義村【みうらのすけよしむら】
- 源頼家を大将とする京方の重臣。病気の母を心配して、若宮口の戦場から駆け戻ってくる。敵の娘である時姫に心を許さず、夫婦になる条件として「父を討て」と苛酷な決断を迫る。それは自身の命運が尽きかけている中で、絶望的な戦況を挽回するためであった。
- 藤三郎 実は 佐々木高綱【とうざぶろう じつは ささきたかつな】
- 時政が陣を敷く近隣の百姓藤三郎が、京方の智将佐々木高綱にそっくりだというので、時政の前に引っ立てられ、別人だと判明した証拠に額に入墨された。時姫の奪還を申し出て、安達の姓を許され足軽頭にとりたてられ、絹川村に向かう。実はその藤三郎こそが高綱本人で、高綱の一か八かの計略であった。
- 長門【ながと】
- 三浦之助の母。絹川村の閑居で病に伏している。戦場から母を案じて瀕死の傷を受けながら戻ってきた息子三浦之助に対し、気丈にも対面せぬまま戦場に戻るよう命じる。原作では最後に時姫の槍を己の胸に突き刺し、息子夫婦の憂いを断つのだが、名は書かれていない。
- おくる【おくる】
- 百姓藤三郎の女房。藤三郎が高綱の身替りになることを承知した上で、高綱の命に従って行動している。
- 富田六郎【とんだのろくろう】
- 時政に従う武将古郡新左衛門（ふるごおりしんざえもん）の家臣。時政の命で絹川村に潜入し、藤三郎を監視しながら時姫奪還の機を伺う。時姫が父を討つ決意をしたことを注進するために井戸の隠し通路に入ろうとしたところで、高綱の槍に刺され命を落とす。
- 百姓藤三郎【とうざぶろう】
- 元武士だったが臆病で武功を挙げられず、百姓になっても長患いで苦しんでいたところに、高綱から身替りの話が持ち込まれた。それを一生の本望と喜んで引き受け、その首は高綱だとして時政に差し出されたが、すでに偽物と露見している。
