鎌倉三代記 カマクラサンダイキ

作品の概要

執筆者 / 小宮暁子
演目名 鎌倉三代記
作者 未詳だが近松半二といわれてきた。近年の研究では近松半二・八民平七・松田才二・三好松洛・竹田新松・近松東南・竹本三郎兵衛(合作)
初演 人形浄瑠璃―1170(明和7)年5月大坂・竹田新松座
歌舞伎―1818(文政1)年2月江戸・中村座
概要 明和6(1769)年12月初演の『近江源氏先陣館(おうみげんじせんじんやかた)』の続編で『太平頭鍪飾(たいへいかぶとのかざり)』として初演された。『近江源氏先陣館』が大坂冬の陣、本作は夏の陣を念頭にして書かれている。しかし設定される時代背景は当時の常として鎌倉時代である。時姫=千姫、三浦之助=木村重成、佐々木高綱=真田幸村、北条時政=徳川家康、後藤又兵衛=和田兵衛のごとくである。前作『近江源氏先陣館』が大成功をおさめたので、勢いにのって『太平頭鍪飾』を翌明和7(1770)年5月に初演した。しかし前作以上に大坂落城の史実や俗説を作中で多く扱ったため、大坂奉行所が6月中旬に上演禁止を命じた。その後、多くの改訂が加えられ、天明元(1781)年3月、江戸肥前座で上演された『鎌倉三代記』が現在の上演本の元となっている。全十段だが、現在上演されるのは七段目の「絹川村閑居」のこの場である。立役=佐々木高綱、二枚目=三浦之助、立女形=時姫、三者にそれぞれ見せ場があるので襲名披露狂言にもよく上演される。
なお、時姫は数ある姫役のうちでも難役とされる三姫の一つで、女形にとって重要な役のひとつである。

●トップページ・タイトル写真
[左から]三浦之助義村(尾上菊五郎)、安達藤三郎実は佐々木四郎左衛門高綱(松本幸四郎)、北條娘時姫(中村雀右衛門) 平成16年1月歌舞伎座

●ページ公開日 平成28年12月27日
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