神明恵和合取組~め組の喧嘩 カミノメグミワゴウノトリクミ~メグミノケンカ

作品の概要

執筆者 / 小宮暁子
演目名 神明恵和合取組~め組の喧嘩
作者 竹柴其水(たけしば きすい)
初演 1890(明治23)年3月 東京・新富座(当時は桐座)
概要 明治時代に入って書かれた江戸の風情あふれる世話物である。作者の竹柴其水(たけしばきすい)は「作者の大問屋」と呼ばれた河竹黙阿弥の弟子で、其水の名は師の俳号である。その黙阿弥が三幕目を、兄弟子の河竹新七が序幕を助筆したといわれるくらい見どころが多く、観客の江戸への郷愁を十二分に満足させる芝居になっている。
1805(文化2)年3月、芝神明境内で花相撲の興行が行われたさ中に、同じ境内の芝居小屋で鳶と力士が喧嘩になり、鳶の一人が死亡した実在の事件を芝居に仕組んだもの。
まず素敵なのは外題『神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)』。「神明」を“かみ”と読ませてめ組の持ち場神明様を、「恵」で“め組”を、「和合」は喧嘩の“仲直り”を、「取組」で“相撲”を利かせている。芝居の内容が良くわかる気のきいた外題である。
四幕八場だが、三幕目の「焚出し喜三郎内」は最近はほとんど上演されない。勢揃いのいなせな役者ぶりと喧嘩場の威勢の良さを楽しむ芝居になっている。


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[左から]辰五郎女房お仲(中村時蔵)、め組浜松町辰五郎(尾上菊五郎) 平成27年5月歌舞伎座
過去の
公演データ