作品の概要
執筆者 /
金田栄一
演目名 | 隅田川続俤~法界坊 |
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作者 | 奈河七五三助(ながわしめすけ) |
初演 | 1784(天明4)年5月 大坂角の芝居 |
概要 | 外題に「隅田川」とある通り、謡曲『隅田川』に始まる隅田川物のひとつ。背景には、断絶した京の公家吉田家の再興に必要なお家の重宝「鯉魚(りぎょ)の一軸」をめぐるお家騒動がある。「続俤(ごにちのおもかげ)」は、おなじみの隅田川物の後日談といった趣向を匂わせる。 法界坊という人物は、1720(享保5)年に近松門左衛門が書いた『雙生隅田川(ふたごすみだがわ)』に最初に登場するが、このときは善人だった。1775(安永4)年に江戸中村座の『色模様青柳曽我(いろもようあおやぎそが)』で初代中村仲蔵が破戒僧の大日坊を演じ、それまで女形の専売だった大喜利所作事を、双面の趣向で男女合体の霊として評判をとった。そのとき共演していた四代目市川團蔵が上方へ持ち帰って、大日坊を法界坊として演じたのが、本作の初演となる。 法界坊は極め付きの悪党だが、数々の役者の工夫によりコミカルでどこか憎めないその役柄が完成し、今や歌舞伎の登場人物の中でも人気の高い主人公の一人となっている。 法界坊は、近代以降では六代目尾上菊五郎、二代目市川猿之助、三代目市川猿之助などが演じているが、何といっても初代中村吉右衛門が卓抜した芸でその人気を確立。それを受け継ぐ十七代目中村勘三郎、二代目中村吉右衛門、十八代目中村勘三郎がさらに工夫を重ねて、さまざまな演出の台本が存在している。 ●トップ画面・タイトル写真 [左から]渡し守おしづ(中村又五郎)、法界坊の霊・野分姫の霊(中村吉右衛門)、手代要助実は吉田松若丸(中村錦之助)、娘おくみ(中村芝雀) 平成26年9月歌舞伎座 ●ページ公開日 平成28年9月29日 |
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