恋の思いに苦しむ娘を白鷺の寂しげな姿に重ね合わせたドラマティカルな舞踊。
静けさと華やかさと変化に富みながら哀切を伴う幻想的な作品。
一面雪景色の中、白無垢姿の娘がたたずんでいる。その姿は舞い降りた鷺にも見える。「吹けども傘に雪もって積もる思いは淡雪の…」と娘は雪のように心にしんしんと積もる胸の思いを描写。悲しい恋をただ一途に恨む内容の歌詞に鷺の姿を重ね、羽ばたく様子など、鷺であることをほのめかす振りも織り交ぜられる。
白無垢から引抜き艶(あで)やかな町娘の姿になる。場面が明るくなり、綿帽子(または手拭い)を使って娘心を可憐に綴る。心情をかき口説く〈クドキ〉と呼ばれる部分で、届かない思いにじれたり、逢瀬のうれしさに恥じらったりする内容になっている。
衣裳を替えて登場し、流行歌で手踊り(小道具を使わない踊り)となる。「須磨の浦辺で汐汲むよりも君の心がとりにくい」(意訳:須磨の海で海水を汲むよりも、あなたの心を掴むのは難しい)と、とらえどころのない男の心をなじる詞章で恋する心を、明るく踊る。
あたりが薄暗くなり、鼓唄(ホソリとも呼ばれる)の哀切ある一節の後、再び「引抜き」、傘を使って踊る。「傘をさすならば、てんてんてん日照り傘…」と傘を読み込んだ「傘づくし」の詞章で軽快に運ばれる。踊り地ともいうリズミカルな箇所で、それまでのストーリーから一端離れ、明るくテンポ良く進む。
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