双蝶々曲輪日記〜引窓 フタツチョウチョウクルワニッキ〜ヒキマド

登場人物

人物関係図

人物相関図

主な登場人物

濡髪長五郎【ぬれがみちょうごろう】
大関(当時は横綱という地位はなかったため最高位)を張る人気力士。恩ある山崎屋与五郎のために吾妻の身請けの話をうまくまとめようと策を練るが、結果として平岡郷左衛門らを殺すことになってしまい、罪人として追われる身となる。捕まる前に実の母に一目会おうと、母が再婚した先の八幡の里を訪れる。
南与兵衛 後に 南方十次兵衛【なんよへえ のちに なんぽうじゅうじべえ】
もとは郷代官の息子だったが、落ちぶれて南与兵衛と名を変え笛売りとして世を渡っていた。そのころ大坂新町の傾城・都(みやこ)と深く馴染み、後に駆け落ちして夫婦になる。殿様が代替わりしたことで出世のチャンスを得て、再び郷代官に取り立てられ父の名・南方十次兵衛を継ぐことも許される。その最初の仕事として命令されたのは、濡髪を捕えることだった。
お早【おはや】
もとは吾妻と同じ新町の傾城で都と名のっていたが、与兵衛と駆け落ちしてその女房となった。夫が出世したことを素直に喜ぶが、濡髪の捕縛を命令されたことを聞き、二階に潜む濡髪や、濡髪の実母であるお幸の心中を思って苦悩する。
お幸【おこう】
濡髪の実母で、濡髪が5歳の時に養子に出し、その後郷代官の家に嫁いだ。そのため与兵衛とは血のつながりはない。与兵衛の出世を喜んだのもつかの間、実の息子である濡髪の捕縛を命じられたと聞き、実の子と義理の子の間で板挟みとなってしまう。
放駒長吉【はなれごまちょうきち】
二段目「角力場」四段目「米屋」に登場。米屋の伜だが、力自慢の暴れ者。素人相撲で活躍したことから贔屓がついて、人気大関の濡髪と対戦することになった。大方の予想を覆して濡髪に勝ったが、実はその勝負の裏には濡髪のある思惑があった。それを知った放駒は濡髪と喧嘩になるが、やがて義兄弟となり、濡髪の苦境を救う。
山崎屋与五郎【やまざきやよごろう】
濡髪を大の贔屓にしている大店の若旦那。妻ある身だが傾城・吾妻と深い仲になっており、後に吾妻と駆け落ちするが、途中で平岡郷左衛門らに捕まりさんざんに痛めつけられる。それを救おうとした濡髪は、結局郷左衛門らを殺してしまう。
藤屋吾妻【ふじやあづま】
大坂新町の傾城。濡髪を贔屓にする与五郎と深い馴染みになっているが、平岡郷左衛門に横恋慕される。駆け落ちの途中で郷左衛門らに捕まり、危ういところを濡髪に救われ、与五郎ともども放駒に預けられたのち、与五郎の妻の実家に送られる。
平岡郷左衛門【ひらおかごうざえもん】
放駒を贔屓にする侍。吾妻に横恋慕しており、同僚の三原有右衛門とともにいろいろ悪だくみをする。駆け落ちしようとした与五郎を痛めつけ、助けに来た濡髪をだまし討ちにしようとし、最後は有右衛門ともども殺されてしまう。「引窓」に登場する二人の侍は、郷左衛門の兄と有右衛門の弟。
お関【おせき】
四段目「米屋」に登場する、放駒の姉。血気盛んな弟のことを心配しながら、一人で米屋を切り盛りするしっかり者。姉の心を知った放駒は悪い友との縁を切る。