天守物語 テンシュモノガタリ

登場人物

人物関係図

人物相関図

主な登場人物

富姫【とみひめ】
百年あまりも人間が通わない姫路城天守閣の最上階に棲み、天守夫人と呼ばれる絶世の美女。見た目には二十七、八歳。多くの妖怪変化を従え、雲に乗って遠く越前の夜叉ヶ池などへも出かける不思議な力を持っている。群鷺山(むらさぎやま)の神社で不幸にも自害した女性が、それを哀れんだ神社の獅子頭の精霊によって永い命を与えられたという。
姫川図書之助【ひめかわずしょのすけ】
姫路城主武田播磨守(たけだはりまのかみ)に仕える鷹匠。二十歳ばかりの凛々しい若侍。主君秘蔵の白鷹を逃がしたため切腹させられるところだったが、天守閣最上階まで登って鷹を探索するよう命じられ、富姫と出会う。
亀姫【かめひめ】
岩代国麻耶郡(いわしろのくにまやごおり)猪苗代の亀ヶ城に棲む姫。姉と慕う富姫と手毬遊びをするため、供を連れて姫路城までやってくる。手土産は亀ヶ城主武田衛門之介(たけだえもんのすけ)の生首。
薄【すすき】
富姫付の奥女中。彼女のほか富姫に従う侍女や女童たちはみな人間ではない。晩秋という設定から、侍女たちには秋の七草から名前がつけられている。
朱の盤坊【しゅのばんぼう】
山伏姿で、頭の一本角と赤い顔が特徴的な奥州変化(へんげ)の先達。会津郡十文字ヶ原(あいづごおりじゅうもんじがはら)に棲む。亀姫の供をして姫路城にやってくる。
舌長姥【したながうば】
亀姫の眷属の老婆。三尺(約1メートル)ほどもある長い舌を持ち、その舌で舐めると鳥獣も人間も骨ばかりになる。
小田原修理【おだわらしゅり】
武田播磨守の家臣。天守閣最上階へ登り、そこで起きた不思議を見て、天守に獅子頭が置かれることとなった謂れを語る。
山隅九平【やまずみくへい】
武田播磨守の家臣。修理とともに討手として天守閣へ登る。
武田播磨守【たけだはりまのかみ】
姫路城主。舞台には登場しないが、天守に棲むものたちに敵対する俗世の人間の長として描かれる。姫川図書之助が鷹を失ったことに怒り、彼を天守へ向かわせ、異変を知ると天守の妖怪たちに討手を差し向ける。亀姫の棲む亀ヶ城主武田衛門之介は実弟。
近江之丞桃六【おうみのじょうとうろく】
かつて獅子頭を彫った工人。天守に現われて、討手に傷つけられた獅子頭の目を直し、富姫たちを助ける。