女殺油地獄 オンナコロシアブラノジゴク

登場人物

人物関係図

人物相関図

主な登場人物

河内屋与兵衛【かわちやよへえ】
大坂本天満町の油屋河内屋の次男。世間でも評判の道楽者で、二人の取り巻きを引き連れて放蕩を繰り返し、実の母親にも手を上げ、ついに勘当される。その陰で親の情に触れ改心のきっかけをつかむが、節季の夜に多額の借金を返さねばならず、追い込まれてお吉に借金を申し込んだ上、断られると最後は衝動的に殺してしまう。
お吉【おきち】
河内屋の筋向いにある同業者の豊島屋の女房。乳飲み子をふくめ幼い三人の子の母。美人で気立てもよく、夫との仲も良いできた妻だが、与兵衛に親切にしたのがきっかけで最後には殺される憂き目を見る。
おさわ【おさわ】
与兵衛の実母。武家の出身で先代徳兵衛の女房だったが、先代の没後に店と幼い二人の息子を守るため、番頭だった現在の徳兵衛と再婚した。与兵衛のあまりの非道ぶりに気丈に勘当を言い渡すが、息子を心配して与兵衛が立ち寄りそうな豊島屋に銭五百文を預けに行く。
河内屋徳兵衛【かわちやとくべえ】
河内屋の当主。温和で義理堅い性格。もとは先代の徳兵衛に仕えていた番頭で、先代没後に婿となり店を継いだ。先代生き写しの義理の息子の与兵衛を甘やかし、増長させてしまった。ついには実母おさわにまで手を上げた与兵衛の勘当に同意するが、やはり息子可愛さでおさわとは別に豊島屋に銭三百文を預けに行く。
河内屋太兵衛【かわちやたへえ】
河内屋の長男で与兵衛の実兄。独立して順慶町(現在の南船場の一部)に店を構えている。森右衛門から浪人することになった知らせの手紙を受け取り、徳兵衛にも徳庵堤での与兵衛の失態を告げ、早く縁を切るよう忠告する。
おかち【おかち】
徳兵衛とおさわの間に生まれた娘で、与兵衛の父親違いの妹。婿をとって河内屋を継ぐことになっているが、与兵衛が店を継げるように企んだ芝居に乗ってしまう。
山本森右衛門【やまもともりえもん】
おさわの兄、与兵衛の伯父。高槻藩の小姓頭・小栗八弥(おぐりはちや)に徒士頭として仕えていたが、八弥が主人の代参で野崎観音への行きがけに与兵衛の喧嘩の巻き添えで泥を浴びてしまい、不始末を詫びるために浪人する。
豊島屋七左衛門【てしまやしちざえもん】
豊島屋の主人でお吉の夫。お吉が与兵衛に親切にしたのを見て、嫉妬した様子を見せる。実直な商人で、遅くまで掛取りにいき、その留守に与兵衛がやってくる。
小菊【こぎく】
曽根崎新地の遊女(歌舞伎では芸者とされることが多い)。与兵衛の馴染。彼女が会津の客に連れられて野崎参りに行ったことに与兵衛が腹を立て、徳庵堤で待ち伏せしたのがきっかけで与兵衛と客が喧嘩になる。