二人椀久 ニニンワンキュウ

作品の概要

執筆者 / 阿部さとみ
演目名 二人椀久
作者 不明 作曲:錦屋金藏
初演 1774(安永3)年5月 江戸市村座
概要 大坂の豪商・椀屋久兵衛(通称・椀久)が狂乱し、さまよううちに恋しい遊女・松山の幻を夢に見て、共に舞い踊る作品。放蕩の末、座敷牢に入れられて発狂した椀屋久右衛門の実説を題材としている。幻想的なムードの中に、早間のテンポでの踊りも盛り込まれ、見どころ、聞きどころの多い曲。1734(享保19)年江戸市村座で劇中劇として椀久の所作事が上演され、それから40年後の1774(安永3)年に市村座でリメイクされたのが本曲である。いつしか振りが途絶えていたのを、昭和26年に初代尾上菊之丞が振付し、初代吾妻徳穂と復活上演。その後、五代目中村富十郎と四代目中村雀右衛門のコンビが手がけて好評を得た。平成9年12月このコンビによるフランス公演は、ル・モンド紙などから激賞された。昭和の歌舞伎舞踊の精華とも位置づけられよう。日本舞踊の各流派でも様々に振付がされ、踊られている。

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[左から]松山太夫(中村雀右衛門)、椀屋久兵衛(中村富十郎) 平成12年9月歌舞伎座

●ページ公開日 平成27年9月1日
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